Kawagoe Expl Vol.04 晩秋の夕暮
半世紀弱もの間、川越に住んでいても知らない場所はたくさんあります。
110㎢の広さに、人口355千人。
地名やランドマークの呼び方でさえ、世代が違えば異なります。
時の鐘という呼び方、私の世代では鐘撞堂と呼びますし、
今はクレアモールという一元化された名称も、私の世代ではサンロードと新富町、両親の世代は西町通りと新田町。
大正ロマン通りも、私の世代以前は銀座通り。
祖父の世代では、現在の川越駅は川越西町駅。
西武鉄道(当時は川越鉄道)が、国鉄によって川越駅という名称を奪われた?ので、意地でも駅名に「本」を付けたところに民間企業なりの抵抗を感じます(笑)
さて、たまたま昨年の秋、10年くらい前に見つけた川越のとある場所へ訪れてみました。
知っている人ならば知っている場所なのかもしれません。
市街地からは、結構遠い。
11月半ばの晩秋だったでしょうか。
ふと何の前触れもなく直感的に、
「あの場所へ行ってみっかな」
というノリで訪れた入間川の土手。
夕暮の時間だったのですが、そこへ訪れて市街地を望んだ瞬間、息を飲むような光景が目の前に広がっていたのです。
ススキから舞う吹雪のようなチリが、レンブラントの絵画のようなオレンジ色の夕陽を帯びてキラキラと輝き、川から静かに吹き寄せる風に揺られてゆっくりと空へ舞ってゆく光景に胸を打たれ、茫然と立ち竦んだものです。
私は写真の腕はないので綺麗に撮れてませんが、実際にこの光景を目の前にすると、言葉を一瞬飲んでしまうほどでした。
あれから一年経とうとしています。
再来月の半ばには、またこの光景が見られるのかと思うと、ちょっとばかり、嬉しくもあるのです。